阿武隈山地に新参クマ適応 本来「非生息地」
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自然環境からクマが生息できないとされてきた福島県の阿武隈山地で今年、クマの目撃情報が相次ぎ、県は新たにクマの生息地となっていることを確認した。もともと生息していた奥羽山脈の餌不足から、やむなく移りすんだとみられるが、農作物や生ごみを食べるなど、人里近くでの生活に適応した“現代っ子”のクマには格好のすみかになる可能性があり、専門家は早急な対策の必要性を訴えている。
阿武隈山地は低くなだらかな山が多いため、平安時代から開発が進み、集落や田畑が点在する里山地帯。クマが実を食べるブナやミズナラも少なく、生息に適していなかった。明治、江戸時代の文献や資料にもクマの生息を示す記述はなく、非生息地とされてきた。
◇
1997年に山地北部で初めてクマが目撃された後、99年に1件、2003年に2件、2005年に3件の目撃情報があったが、件数が少なく、断続的だったため、奥羽山脈のクマが一時的に迷い込んだとみられてきた。
ところが、県に寄せられた今年の目撃情報は過去最高の11件。期間は5月から11月にわたり、範囲も北部1件、中部4件、南部6件と広く、奥羽山脈から迷い込んだクマが移動できる距離ではない。
福島市から二本松市の間や須賀川市から白河市の間の東北自動車道などでは数年前から、クマが車にはねられる事故も発生しており、クマが山がちな地域を選んで、中通り地方を横断していた可能性は十分にある。
◇
県自然保護グループは「複数の個体が奥羽山脈から阿武隈山地に入り込み、それぞれ山地内ですみかを探して移動している。奥羽山脈に戻る動きはなく、定住の初期段階」と分析。「個体数が増えた奥羽山脈で今年は深刻な餌不足になり、生活できないクマが新天地を阿武隈山地に求めてやってきたのではないか」（同グループ）と推測している。
一方、阿武隈山地南部に隣接し、同じくクマが生息できないとされてきた茨城県の八溝山系でも今年、初めてクマが目撃され、今月には死体も発見された。
クマの生態に詳しい岩手大農学部の青井俊樹教授は「阿武隈山地に生息できなかったのは、人里を嫌い、山の恵みだけで暮らしていた昔のクマ。人を恐れず、農作物や生ごみを食べる現在のクマにとって、阿武隈山地は最高の環境」と指摘。「爆発的な生息数の増加、農作物や人的被害を防ぐため、早急に農作物やごみ管理などの対策を取るべきだ」と訴えている。
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1997年に山地北部で初めてクマが目撃された後、99年に1件、2003年に2件、2005年に3件の目撃情報があったが、件数が少なく、断続的だったため、奥羽山脈のクマが一時的に迷い込んだとみられてきた。
ところが、県に寄せられた今年の目撃情報は過去最高の11件。期間は5月から11月にわたり、範囲も北部1件、中部4件、南部6件と広く、奥羽山脈から迷い込んだクマが移動できる距離ではない。
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一方、阿武隈山地南部に隣接し、同じくクマが生息できないとされてきた茨城県の八溝山系でも今年、初めてクマが目撃され、今月には死体も発見された。
クマの生態に詳しい岩手大農学部の青井俊樹教授は「阿武隈山地に生息できなかったのは、人里を嫌い、山の恵みだけで暮らしていた昔のクマ。人を恐れず、農作物や生ごみを食べる現在のクマにとって、阿武隈山地は最高の環境」と指摘。「爆発的な生息数の増加、農作物や人的被害を防ぐため、早急に農作物やごみ管理などの対策を取るべきだ」と訴えている。
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